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なぜ、台湾の半導体産業で若者が働かないのか?2023.01.13

皆様、あけましておめでとうございます。

本年もさらなるサービス向上に向け、気持ちを新たに取り組んでまいりますので、
引き続き変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

本日も普段忙しい赴任者のために少しでも役に立つニュースや情報をご紹介させていただきます。

去る1/10、中国政府は日本国民に対して新規のVISA申請を停止しました。
再開時期は未定で、日本政府が行った中国からの渡航者へ課した水際対策に関しての報復措置と言われております。

もし、このままVISA停止が長期化した場合に懸念されるのが、やはり中国へ赴任する駐在員の影響です。

外務省のまとめによりますと、中国在住の「在留邦人」の数はコロナ禍前で約11万6000人(世界で2番目に多い)
それに対して、2022年10月の時点でも約10万2000人となっており、多くの企業で駐在員の態勢を維持してきたとみられています。

このため、駐在員の交代や赴任が集中する3-4月、さらには年度末にまで停止が長期化した場合、かなりの影響が出る可能性があります。

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▼参考: 中国ビザ発給停止 なぜ突然?国内への影響は?
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230111/k10013946351000.html
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日本政府は特に対抗措置を発表していませんが、春節の中国人観光客を受け入れるために、これ以上強い水際措置は取らないように思えます。

 

当然、新種のコロナウイルスが日本に流入するのは防いでほしいですが、
日本の経済的には爆買い中国人観光客にはぜひ来てもらいたい。なかなか難しい判断だなと思います。

 

さて、コロナ禍だった頃から経済活動が戻りつつあるなか、外食や宿泊サービスなどの非製造業を中心に企業の人手不足感が高まっています。
人手不足に陥っている企業の割合は正社員で5割、非正社員で3割に迫りコロナ禍後最大。

 

これは日本だけでなく、欧米でも同様ですが、もちろん台湾も同じような問題を抱えています。
そこで今回は人手不足の背景と、今後の展望を深堀して皆様にお伝えいたします。

 

 

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日本の人手不足の原因とその職種
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日本政府観光局『訪日外客統計』によると、訪日外客数はコロナ禍の22年1月から比べると約20倍に回復しています。
その恩恵を直接的に受けるのが飲食業界やホテル業界ですが、そこで現在問題となっているのが人手不足。

コロナ禍前は外国語対応のできる従業員を採用し、準備万端でインバウンドニーズに対応してきた飲食店も、いまは外国人はおろか、日本人の対応も厳しい状況になっています。

 

そもそも人手不足が深刻化する原因として、M&A総合研究所さんによると下記の4つが挙げられるそうです。

  1. 少子化・高齢化の進行による人口減少
  2. 有効求人倍率の偏り(大企業と中小、人気職種と不人気職種で偏りが出る)
  3. 労働条件(ワークライフバランス、やりがい、福利厚生など)
  4. 大都市圏への人口集中

 

さらに帝国データバンクが公表した「人手不足に対する企業の動向調査(2021年4月)」によると、以下の6業種は上位となっている人手不足業種となります。

・メンテナンス・警備・検査業
・教育サービス業(学校法人を除く教育関連サービス)
・飲食業
・小売業(各種商品、飲食料品、自動車および同部品、家具類、専門商品)
・建設業
・情報サービス業(ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業)

 

下記リンクに各種業界の人手不足の背景や、理由、解決策の提案など記載してありますので、気になった方は参考にしてみてください。

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▼参考: 人手不足が深刻化する日本|社会背景からみえる原因と課題、対策を紹介
https://mastory.jp/%E4%BA%BA%E6%89%8B%E4%B8%8D%E8%B6%B3
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個人的に今は日本社会の変革期なので、様々な企業で人手不足が起きるのは仕方がないことだと思います。
だからこそ人手を確保するために企業は努力をし、労働者に選ばれない企業は自然淘汰され、労働力が流動化されます。

 

今まさに人手不足に直面している業界は大変だと思いますが、
日本経済の全体を考えると乗り越えなくてはならない壁のように感じます。

 

 

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台湾の人手不足問題、半導体産業も
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台湾でも人手不足は深刻化しています。
ホテル業界の大手、晶華国際酒店の潘思亮・董事長は昨年の11/24、労働力不足が深刻だと訴えていました。

 

現在、観光ホテル業界の客室稼働率はコロナ前の5割以上まで回復しています。
また同ホテルの客室稼働率はコロナ前の6割以上まで回復したが、客室清掃スタッフが500〜600人の2割不足。
宴会場の人手も足りず、春節前の尾牙(忘年会)の1000テーブル近い予約を断ったほどだと、苦境を訴えました。

 

同時期に、台湾の20のホテルが自救聯盟を結成し、政府に対して下記の要求を行いました。

1、移民労働者の導入
2、華僑留学生の定住化
3、労働時間規則の緩和

 

また、台湾の飲食チェーン店や婚礼宴会業界にも同様の問題が起きており、
社團法人台灣連鎖加盟促進協會及び台灣婚宴文創產業發展協會の2協会からは、以下の解決法案及び意見が提出されました。

1、飲食及び婚礼宴会業界は、移民労働者の規制に対して実需に応じて臨機応変に緩和すること。
2、海外駐在員の人数は各支社の要件に基づいて算出すること。
3、国内の外国籍の学生を対象とした卒業後の進路指導プログラムの提供
4、専門資格を取得している外国籍の生徒の優先採用。

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▼参考:ホテル業界の人手不足深刻、「やむなく尾牙キャンセル」/台湾
https://www.ys-consulting.com.tw/news/106085.html

▼参考:台湾労働:深刻な人手不足に悩む飲食業界
https://linkbiz-tw.com/taiwan-labor69/
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さらに飲食業・ホテル業界だけではなく、台湾の屋台骨ともいえる半導体産業も、
人材不足が深刻化しているとのことです。

 

新竹科学パーク管理局の陳淑珠副局長は、現在の台湾半導体産業について、
人材需求バランスが著しく崩れていると指摘します。

 

加えて、この問題を加速させている要素として若い世代の仕事に対する考え方の変化を挙げ、
「若い世代はワークライフバランスを大切にする。半導体の仕事はきつく、日常的に残業があるため、今の大学生はみんなやりたがらない」と語っています。

 

また、台湾の求職サイト「104人力銀行」が発表したデータでは、電子情報・ソフトウエア・半導体などの技術人材が、なんと18万9000人不足していると明らかにしています。
ますます増える求人に対して応募者が追いつかない背景として、台湾の人材育成が不十分という問題があるそう。

 

台湾教育当局のデータによれば、大学や専門学校で「STEM教育」(いわゆる理系学問)を受ける学生の数が、
2006年の50万6000人をピークに、19年には38万3000人まで減少しており、飲食業・観光業・デジタルアニメ・文化クリエーション産業といった新興産業に学生の興味が移っているとの指摘もある。

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▼参考:台湾の半導体産業、人材不足が深刻化
https://www.recordchina.co.jp/b903775-s25-c20-d0193.html
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また、台湾の人手不足の原因として日本と同じように、もちろん少子高齢化もあります。
知っての通り、台湾は小さい国で日本の人口の1/5程度しかありません。

 

それが世界の半導体工場として、台湾だけで支えるのは確かに無理があるように思えますね。

 

また早稲田大学の小田部教授は人手不足の原因を下記のように指摘します。
「製造が自動化して確かに稼働に必要とする人数(頭数)は減ります。しかし、技術の精密化によってさらに技術レベルの高い製造技術者、機材のオペレーターも必要となります」

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▼参考:半導体製造では殆ど自動化が進んでいる筈で、なぜ人手不足だと叫ばれているのでしょうか?
https://mond.how/topics/zqo0it3baj1xuoz
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個人的に台湾政府による、現状の人手不足を解消する施策に非常に注目しています。
もしかしたらそこに日本が学ぶべきヒントがあるかもしれません。

 

さて、いかがでしたでしょうか?

それでは本日はここまで

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