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台湾で相次ぐ日本産農作物の規定違反2023.11.10

毎度、お世話になっております。

 

今回も忙しくする日本人の皆様へ、台湾・日本に関連したニュースや、海外引越にかかわる情報をご紹介いたします。

よろしければ、ご一読していただけましたら幸いでございます。

 

先日、台湾で日本のイチゴが相次いで残留農薬超過となり、輸入差し止めとなったというニュースを目にしました。
そういえば、最近よく残留農薬違反のニュースを耳にするなと思い調べたところ、日本の規定違反ニュースがたくさん出てきました。

 
※それぞれ個別の事案で、2023年だけでも8回の違反記事

 
安心・安全と言われた日本の農産物に何かあったのでしょうか?
今回は台湾で次々と摘発される日本の農作物について深堀したいと思います。

 

 

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相次ぐ日本産農作物の規定違反

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まず、2023年に日本からの農産物が、台湾で規定違反になったニュースは下記のとおりです。

 

(10/25)日本産生鮮メロン、水際検査で不合格 基準値超える残留農薬検出/台湾

https://japan.focustaiwan.tw/society/202310250005

(10/12)日本産ブドウ、水際検査で不合格 残留農薬の規定に違反/台湾

https://japan.focustaiwan.tw/society/202310120001

(6/27)ミカンや活ホタテ 日本産の複数食品が不合格 残留農薬の違反などで/台湾

https://japan.focustaiwan.tw/society/202306270003

(5/23)日本産ブルーベリーとブドウが水際検査で不合格 残留農薬の違反で/台湾

https://japan.focustaiwan.tw/society/202305230008

(5/16)日本産イチゴが再び不合格 残留農薬の規定違反で/台湾

https://japan.focustaiwan.tw/society/202305160008

(3/22)日本産イチゴから再び基準値超え残留農薬検出=2ロット89キロ/台湾

https://japan.focustaiwan.tw/society/202303220002

(1/17)日本産イチゴ454キロから基準値超えの残留農薬 3月まで検査を強化/台湾

https://japan.focustaiwan.tw/society/202301170005

(1/3)日本産イチゴから基準値超えの農薬 541キロを処分/台湾

https://japan.focustaiwan.tw/society/202301030007

 
一度違反を起こすと、違反が起きた農産物への抜き取り検査率が上がってしまうため、違反が見つかる確率も上がってしまいます。
特に上記を見ると、イチゴの規定違反が今年だけで4回も起こっています。

 
違反となった数十キロ~数百キロの農作物は当然廃棄(または返送)となりますので、
輸出業者の損害額を考えると、同じ物流業界の人間としてゾっとしてします。

 
しかし、これだけ多くの規定違反をしてしまうと台湾人にとって
「日本産の農作物は農薬だらけ」と悪い印象がついても不思議ではありません。

 
なぜこのような規定違反が何度も起こってしまうのでしょうか?

 
 

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日本の農産物は農薬まみれなのか?

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台湾での残留農薬違反が相次いで日本でニュースになると、
「日本は残留基準値が世界一甘い」や「農林水産省が農薬の散布基準を決定的に緩めてしまった結果」などと、大量のコメントがついたようです。

 
しかし、内閣府の食品安全委員会を務める科学ジャーナリストの松永氏によると、
「この問題は食品の安全性の問題とは関係ないが、日本の農業関係者のビジネス戦略の甘さを浮き彫りにしている」と主張しています。

 
松永氏の主張をまとめてみると下記の様になります。
 

  1. 国別の残留農薬の基準比較は科学的に意味がない。
  2. 台湾で使用が想定されていない農薬に対して、残留基準は最小の0.01ppmとしている。
  3. 台湾で使用が想定されていない農薬が、日本産イチゴに使用されていたので基準を超えてしまった
  4. 日本国内向け用のイチゴを、台湾に発送してしまった輸出業者の過失
  5. 農薬メーカーは全世界共通で使用できる農薬は、申請コストの都合から作れない。

市場規模の小さい国・農産物の残留農薬基準は無視せざるを得ない

 

規定違反が相次いだ理由として、ざっくりと整理しますと「農産物の輸出業者が、輸入国側の農薬規定を鑑みずに発送してしまった」ということになります。

 

しかしながら、農薬成分は600以上あると言われ、その許容基準は各国で異なり、非常に複雑となっています。

農水省でも、国際基準と19カ国・地域の残留基準が調べられ、表として提供されていますが、そのデータは膨大になります。

 

数多くの農産物に対して、それぞれに使用される数百もの農薬成分に対して、各国で残留農薬基準は異なり、その基準は頻繁に変わるので、その更新作業も膨大です。
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日本のいちごが台湾で差し止め 農薬超過事件の真相

参考: https://wedge.ismedia.jp/articles/-/26495

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確かに、最終的には輸出業者の確認不足が原因ではありますが、その背景を調べると、これは日本政府のフォローももっと必要なのかなと思います。

輸出前にきちんとした検査体系や、輸出先国の農産物ごとに適した農薬などの情報を、簡単に入手できる仕組みがあれば、日本の質の高い農産物をもっと世界に輸出できるのかなと感じました。

 
 

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国別の残留農薬基準の単純比較は意味がない

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また、前出の松永氏の「国別の残留農薬の基準比較は科学的に意味がない」という主張を理解するには少々説明が必要です。

農産物に対して残留農薬基準が緩いからと言って「日本が農薬天国」だとは、一概には言えないということになります。

 
まず、ヒトがその物質(農薬)を一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと許容される1日の摂取量(ADI)があります。

そして各国は、その国でよく食べられる食品摂取量に応じて、その食品の残留農薬基準をそれぞれ決めています。

 

例えば、農薬Aの許容摂取量(ADI) を100だとしたら、全ての食品に含まれる農薬Aの摂取量を、許容摂取量(ADI)の80%以下に抑えなくてなりません。

つまり、式にすると下記の様になります。

 

農薬Aの許容摂取量(ADI)の80% ≧

(食品Bの平均摂取量/日 x 残留農薬基準B)

+(食品Cの平均摂取量/日 x 残留農薬基準C)

+(食品Dの平均摂取量/日 x 残留農薬基準D)…

 

例えば、食品Bを大量に摂取する国と、あまり摂取しない国とでは、農薬Aの残留農薬基準Bが変わるということです。

 

おそらく、食品Bを大量に摂取する国では、農薬Aの残留基準は厳しくなるのではないでしょうか?

 

また、農薬Aが様々な食品にすでに含まれている国では、農薬Aの許容摂取量を抑えるために、新しい食品に関しては農薬Aの残留農薬基準を厳しくするかもしれません。

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日本のいちごが台湾で差し止め 農薬超過事件の真相

参考: https://wedge.ismedia.jp/articles/-/26495?page=2

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いかがでしたでしょうか?
本日はここまで

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