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台湾の海賊版が本家を動かした?2026.06.10

毎度、お世話になっております。

今回も忙しくする日本人の皆様へ、台湾・日本に関連したニュースや、海外引越にかかわる情報をご紹介いたします。

 

さて先日、風傳媒日本語版で興味深いニュースを目にしました。

 

台湾の漫画家3名が、日本の「KADOKAWA WORLD MANGA CONTEST」で受賞したというものです。

金賞、銅賞、努力賞という結果で、台湾のクリエイターの作品が日本の大手出版社に評価されたという、嬉しいニュースでした。

 

KADOKAWA公式発表によると、今回のコンテストには世界118の国と地域から1,959作品の応募があったそうです。

その中で、台湾のEli Lin氏がセリフなし漫画部門で金賞、MurJi氏が銅賞、JASONZ氏が努力賞を受賞しています。

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参考:台湾漫画家3人がKADOKAWA国際漫画コンテストで受賞 金賞・銅賞・努力賞に輝くhttps://japan.storm.mg/articles/1137870

参考:「KADOKAWA WORLD MANGA CONTEST」結果発表

https://www.kadokawa.co.jp/topics/16965/

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これは単に「台湾人が漫画コンテストで賞を取った」という話ではなく、台湾が日本の漫画・アニメ・ゲーム文化を“受け取る側”から、“世界に向けて創作する側”へ変わってきたことを象徴する出来事ではないでしょうか。

 

そこで今回のメルマガでは、台湾におけるアニメ・漫画・ゲーム文化のを振り返りつつ、「台湾の海賊版が、本家に影響を与えた?」という裏話に関して深堀して皆様にお伝えしたいと思います。

 

よろしければ、ご一読していただけましたら幸いでございます。

▽台湾は日本ACG文化の一大消費地

台湾では、アニメ・コミック・ゲームをまとめて「ACG」と呼ぶことがあります。

日本でいう「サブカル」や「オタク文化」に近い言葉ですが、台湾ではかなり一般的に使われている印象です。

 

台北駅地下街や西門町周辺に行けば、漫画、フィギュア、カードゲーム、ゲームソフト、コスプレ用品などを扱う店が並び、日本のアニメやゲームが台湾の若者文化に深く入り込んでいることがよく分かります。

 

また、台湾最大級の同人誌即売会「Fancy Frontier 開拓動漫祭」は2002年から開催されており、日本のコミックマーケットに近い形で、台湾のファンやクリエイターが自作の漫画、イラスト、グッズなどを発表する場として定着しています。

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参考:Fancy Frontier

https://www.f-2.com.tw/

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さらに台湾文化部は2018年、台北市大同区に「台湾漫画基地」を設立しました。

 

台湾漫画の展示、創作者支援、作品発表、IP育成などを目的とした施設で、漫画やACGを文化産業として育てようとしているようです。

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参考:台湾漫画基地

https://www.tcb.tw/zh/

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しかし、ここで少し歴史をさかのぼると、台湾における日本ACG文化の始まりは、必ずしも現在のような「正規ライセンス」「公式配信」「政府支援」というきれいな形だけではありませんでした。

 

▽アジアに蔓延した違法コピー・海賊版の時代

1990年代以前の台湾では、日本の漫画、アニメ、ゲームが非常に人気を集める一方で、海賊版、コピー商品、非正規流通もかなり多かったと言われています。

 

漫画であれば、日本の人気作品が無断で翻訳・出版されることがありました。

ゲームであれば、ファミコン互換機や、複数のゲームが入ったカセットなどが市場に出回る無法地帯状態だったそうです。

 

当時は著作権に対する意識や取り締まり※が現在ほど整っておらず、

日本のコンテンツが台湾やアジア圏に広がる入り口として、こうした非正規流通が大きな役割を果たしていたのも事実だと思います。

※台湾では1992年に著作権法が大幅に改正

 

特にアーケードゲームの世界では、この海賊版文化がとんでもない形で本家メーカーに影響を与えることになります。

その代表例が、カプコンの大ヒット格闘ゲーム『ストリートファイターII』です。

 

1991年に登場した『ストリートファイターII』は、世界中で大ヒットしました。

対戦格闘ゲームというジャンルを一気に広めた、まさにゲーム史に残る作品です。

 

しかし、当時のアジア市場では正規のアーケード基板だけでなくコピー基板、つまり海賊版の基板が大量に出回っていたそうです。

元カプコンのゲームプロデューサーで、『ストII』シリーズにも深く関わった岡本吉起氏は、自身のYouTubeチャンネルなどで、当時のアジア市場について語っています。

 

岡本氏によると、台湾、香港、中国、韓国などでは、カプコンの正規基板をコピーした海賊版が大量に流通しており、現地のゲームセンターに行くと、並んでいる『ストII』が見渡す限りコピー基板だったというような、まさに無法地帯のような状況だったそうです。

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参考:岡本吉起 ゲームch「【違法コピー!】激ヤバ海賊版ストIIレインボーについて思うこと」

https://www.youtube.com/watch?v=SLDhR3E87Jw

参考:岡本吉起 ゲームch「海賊版の流通は是か非か」

https://www.youtube.com/watch?v=unelsUI8H8E

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ゲームが遊ばれているのに、正規の売上が入ってこない。

しかも海賊版が出回れば、品質管理もブランド管理もできません。

 

現在であれば法的措置や国際的な取り締まりも考えられますが、当時のアジア市場では、そう簡単にはコントロールできなかったと岡本氏は語ります。

ところが、この海賊版文化は、皮肉なことに海賊版の中から、本家カプコンにまで影響を与える“怪作”が生まれてしまったのです。

 

その代表例が、『ストリートファイターII レインボー』です。

 

これは『ストリートファイターIIダッシュ』を勝手に改造した海賊版で、台湾系のハッカーグループまたは業者が作ったものとされています。

 

その内容はかなりメチャクチャでした。

・空中で波動拳が撃てる

・飛び道具が連発できる

・飛び道具が相手を追尾する

・対戦中にキャラクターを変更できる

・ゲームスピードが異常に速い

・通常ではあり得ない動きや技が出せる

 

本来の『ストII』は、キャラクターごとの間合い、駆け引き、技の硬直、読み合いが重要なゲームです。

しかし『レインボー』は、そういったバランスを完全に破壊した、いわば“なんでもあり”の改造版でした。

 

普通に考えれば、ゲームバランスは崩壊しています。

しかし、これがなぜかプレイヤーにはウケてしまいました。

 

ゲームスピードが速く、展開が派手で、見た目にも分かりやすい。

ある意味では、本家よりも刺激が強かったのです。

 

しかもこの『レインボー』はアジア圏だけでなく、日本のゲームセンターにも逆輸入され、かなり話題になったと言われています。

 

本来であれば海賊版は違法で、認められるものではありません。

 

ただ、ここで面白いのは、カプコン側がこの海賊版を単に「許せないもの」として見るだけではなく、その中にあった“ユーザーが求めている面白さ”を見抜いたことです。

 

▽海賊版のスピード感が公式作品に影響した?

岡本吉起氏は、海賊版『ストIIレインボー』の基板を入手し、カプコンの開発チームに解析させたと語っています。

 

当然、違法コピーそのものは許されません。

しかし、岡本氏らはその中にあった「ゲーム展開の速さ」に注目したそうです。

 

その結果、カプコンは本家として『ストリートファイターIIダッシュターボ』を開発します。

もちろん、海賊版のような無茶苦茶な改造ではなく、カプコンがきちんとゲームバランスを整えた上で、スピード感を公式に取り込んだ作品でした。

 

つまり、台湾やアジア圏で横行した海賊版が、結果的に本家カプコンに「ユーザーはもっと速く、もっと派手な対戦を求めている」と気づかせ、公式作品の方向性に影響を与えた可能性があるのです。

 

これは、ゲーム史の中でもかなり珍しい「海賊版が本家を動かした」エピソードではないでしょうか。

 

さて、いかがでしたでしょうか?

 

台湾ACG文化は、かつては日本作品を受け取る側でした。

しかし現在では、台湾のクリエイターが日本や世界に向けて作品を発信する時代になってきています。

 

過去には海賊版など横行した時代がありましたが、文化というものは正規ルートだけでなく、時に予想外の場所からも影響を与え合うものなのかもしれません。

 

では本日はここまで

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